「デザイン」という言葉は様々なところで使われ、皆さんもよく耳にしていると思います。ファッションデザイン、WEBデザイン、インテリアデザインなどの聞き馴染みのあるものから、サービスデザイン、デザイン思考、デザイン経営といった言葉もあります。
こうも多種多様な場面でデザインという言葉に出くわすと、「そもそもデザインの意味とは?」「いったいどういうことを指してるのか?」と疑問を持つ方もいらっしゃるでしょう。かくいう私も幾度となくこの問いにぶつかってきました。
そこで「デザインとは何か」について、言葉の意味から紐解いていこうと思います。
デザインの意味
日本でのデザインの定義
まずはデザインという言葉がどう定義されているかを見ていきましょう。
「デザイン」は日本では「意匠」と訳されていました。意匠の意味を調べてみると、
絵画・詩文や催し物などで、工夫をめぐらすこと。趣向。
美術・工芸・工業製品などで、その形・色・模様・配置などについて加える装飾上の工夫。引用 /goo辞書
と出てきます。
この意味の通り「物の見た目の綺麗さやオシャレさ」のことを「デザイン」と言い、デザイナーとは「物の見た目を綺麗にしたりオシャレにしたりする仕事」と言うことができます。これに関しては多くの方が納得できるのではないでしょうか。
デザインの語源
次にデザインの語源、もともとはどういう意味だったのかを見てみます。
デザインの語源はデッサン(dessin)と同じく、signum(印)を語幹とし“計画を記号に表す”という意味のラテン語designareである。
引用 /Wikipedia
これによると、「デザイン」はもともと「とある計画を何かしらで表現する」ことを指していたそうです。少し言葉足らずなこともあり、こちらに関してはピンと来ていない方がほとんどだと思います。
ひとまず、日本での定義ともともとの語源を調べてみると、「デザイン」という言葉にはどうやら、「形や色など、物の見た目に工夫をこらすこと」、「計画を目に見える形で表現すること」という大まかに2つの意味があることが分かりました。
手を動かす前と後(あと)
私たちデザイナーは1日のほとんどの時間を紙やパソコンの画面の前で過ごしています。これはロゴマークやポスター、ホームページ・Webサイトなどの「見た目を綺麗にオシャレにする」作業の時間です。これを「手を動かす時間」と言うことにします。
もちろん何の考えもなしに紙に描き出したり、パソコンの前に座ったりする訳ではありません。手を動かす時間の前には「クライアントへのヒアリング」や「製品についての下調べ」、「売り場の下見」、「競合の調査」「アイディアを練る」「打ち出し方の企画」などの「準備の段階」があります。
そして手を動かす時間が終わり、無事に納品できました。これでデザインの仕事は終わり、という訳にもいきません。手を動かす時間の後には「現場での見え方」や「実際に売れたかどうか」「手に取った人の行動」「得られる体験」「今後の展開」などの、作ったものが「世に出てからの段階」があります。
デザイナーは、「準備の段階」で得た情報や想いをもとに「世に出てからの段階」を見据えた上で最適なものを企画、制作、提案しています。何を制作するにしてもこの一連の流れは大切です。何も知らずに作った綺麗さやオシャレさはとって付けたもの以上にはなりませんし、どれだけ綺麗でオシャレなものを作っても上手く機能しなかったら意味がありません。
ここで先ほど紹介した「デザイン」の持つ2つの意味に戻ってみます。「形や色など、物の見た目に工夫をこらすこと 」は「手を動かす時間」とそのまま捉えられます。「計画を目に見える形で表現すること」 こちらは、「準備の段階」を踏まえて「世に出てからの段階」をイメージし、その構想を実現させるべく制作することと捉えることが出来るのではないでしょうか。
広義のデザインと狭義のデザイン
デザインには、クライアントの依頼や抱える問題に対し「解決策を見つけ、それを達成するための構想を計画・設計する」という役割と、「その計画・設計を実現するためにカタチを作る」という役割があります。前者を「広義のデザイン」と言い、自身の手元だけでなく市場や社会全体などまで視野を広げた捉え方です。後者を「狭義のデザイン」と言い、より良いものを制作するために集中し、視野をと絞った捉え方です。
広い・狭いという表現を使いましたが、どちらが良くてどちらが悪いという訳ではありません。どちらも重要な考え方であり、この2つをまとめて「デザイン」なのです。
まとめ「デザインとは」
では「そもそもデザインとは何か」をまとめます。
デザインとは問題の本質を発見し、それを解決するための計画・設計をすること。
その計画・設計を実現するための表現をカタチ作ること。だと、私たちAitDesignは考えています。
日本での定義と語源を見て分かるように、「デザイン」のもつ意味や役割は時代の流れによって変わっていきます。「手を動かす前と後(あと)」で述べた「準備の段階」と「世に出てからの段階」についても、技術の進歩や生活スタイルの多様化に伴い、これからはもっと広く深く考えなければいけなくなると感じています。
今回は「デザインの意味と語源」という切り口から「デザインとは何か?」を見ていきました。少しでも「デザイン」についての理解が深まっていれば幸いです。
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